2014年1月18日土曜日
冬の京都 -次の年に備えて-
「冬の京都」というと、どんな風景が浮かびますか?
なんとなく、雪が積もった金閣寺や銀閣寺のイメージが出てくるかもしれませんね。
たしかに、冬の京都は寒く、雪が降ることもたまにあるのですが、積もることは少ないです。
雪の積もったお寺の写真を撮りに行こうとして入ってみたら、
すでに雪は溶けていて、がっかりというお話はよく聞きます。
冬の京都の風景は、
春の桜、
初夏のあじさい、
真夏の五山送り(大文字焼)、
秋の紅葉などに比べれば、
とても地味だと思います。
京都三大祭(葵祭、祇園祭、時代祭)のようなイベントもないですし。
このように、冬の京都は、観光客が見るべき見ドコロは少ないのですが、
5年間過ごし、
ある意味で、「京都らしいなあ、ほかの大都市ではあまり見られないなあ」
と思った風景があります。
その2つを紹介します。
○広沢池
京都の西のはずれ、嵯峨野の近くに広沢池という大きな池があります。
秋の月見や紅葉のシーズンは特に映え、このような風景が見られます。
しかし、12月中旬から2月頃にかけては、池の水のほとんどが抜かれ、
このような風景に出会うことになります。
なぜ、このようになるのかというと、
実は、この池では鯉(コイ)や鮒(フナ)といった魚が育てられており、
冬になると、これらを採るために水が抜かれるのです。
魚を採るイベントは、「鯉揚げ」と呼ばれ、魚は近所の料亭などに売られるそうですよ。
○琵琶湖疏水
京都にはおとなりの滋賀県の琵琶湖から水を引いてくる、琵琶湖疏水という水路があります。
明治時代の国家的プロジェクトで、
(現代で言うと、東京湾アクアライン、青函トンネルくらい?)
今もなお、南禅寺近くの庭園の水を引くなどのため、大切に使われています。
疏水のそばには桜の木がたくさん植えられていて、
春の京都を代表する風景の一つになっています。
しかし、1月頃から2月頃にかけて、疏水の水の量は、がくんと少なくなります。
これは、この期間に、1年間休みなく働いている水路の設備を点検したり、
傷んでいるトコロを直すために、流す水を少なくしているのです。
このように、冬の京都は、ほかの季節に比べれば、華こそありませんが、
目立たないトコロで、次の年に備えて、休めたり、直したりして、
パワーをたくわえています。
まるで、生き物が冬眠したり、栄養をたくわえたりするのと同じように、
この街も生きているんだなあ、と思います。
150万人もの人が住みながら、
春夏秋冬にそれぞれハッキリとした顔を持つ街。
ステキだと思いませんか?
このブログのラベルの「京都」では、
そんな街の魅力について、これからもいろいろ書いていきたい、と思います。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿